あめのひ、はれのひ
真っ白なスタートライン
よく晴れた日に私は旅立つ。
真新しい茶色のカバンに必要なものだけを詰めて、
駅のホームに並んだ。
見慣れた景色は私にとって苦しい。
揺れる心は、深呼吸をしたら少し落ち着いた。
「~♪」
アナウンスが流れ、間もなく電車が来た。
何度も乗った電車。
この電車に昼間で二人で乗るのが大好きだった。
ゆっくりと流れる時間と心地よい太陽の光に照らされながら、
特に行く宛ても決めず気ままに電車に揺られた。
―――――
「なあ、葵。
こっち見てみ! 桜が綺麗やで」
雄太の笑顔は世界一素敵だと思う。
何かを見て素直に感動できることは、
すごいことで、それを普通にできる雄太を私は大好きだった。
「来年も一緒に見よな?」
そう言った雄太の笑顔が今の脳裏に焼きついている。