あなたじゃなきゃダメ...

そっと私を離し荷物を手にした。

「これはななにあげるわ」

そう言ってスウェットを渡された。

「たろう使わんの?」

私が聞くと頷いた。

「ありがとう」

そう呟いた。

そして玄関まで行く。

たろうはそっと鍵を返してきた。

今更、実感がわいてきた。

たろうが行っちゃう…

でもここで止めたら

同じ事の繰り返し。

「なな…今ならまだ

引き返せんで?」

たろうは遠回しに

離れたくないと訴えてきた。

「うん…」

私は心の中で葛藤していた。
< 205 / 359 >

この作品をシェア

pagetop