あなたじゃなきゃダメ...
そっと私を離し荷物を手にした。
「これはななにあげるわ」
そう言ってスウェットを渡された。
「たろう使わんの?」
私が聞くと頷いた。
「ありがとう」
そう呟いた。
そして玄関まで行く。
たろうはそっと鍵を返してきた。
今更、実感がわいてきた。
たろうが行っちゃう…
でもここで止めたら
同じ事の繰り返し。
「なな…今ならまだ
引き返せんで?」
たろうは遠回しに
離れたくないと訴えてきた。
「うん…」
私は心の中で葛藤していた。