あなたじゃなきゃダメ...

どれぐらいそうしていただろう。

見上げるとたろうと目が合った。

たろうは私にキスをした。

驚いて何も喋らない私に

「ななごめん!

嫌やったでな?」

たろうが言った。

嫌じゃなかったよ。

本当は嬉しかったんだよ。

でもたろうには妻子がいる。

これって…

「たろうちゃん不倫やで!

ななにちゅうしたらあかんやん!」

強がって言った。

するとたろうは

いつになく真剣な顔をして

「俺ななの事好きやわ。

放っとかれへんし、心配やし

ななの事守りたいって思った」

私は言葉に詰まった。

そして言葉の代わりに

たろうにキスをした。
< 28 / 359 >

この作品をシェア

pagetop