あなたじゃなきゃダメ...

つぐと距離をおいて1週間が経った。

今日はたろうと海に来ていた。

車を止めて砂浜まで歩こうとした時

私の携帯が鳴った。

もう鳴る事はないと思っていた

着信音に戸惑いを隠せなくて

出る事が出来ず、携帯を眺めていた。

「つぐくんからやろ?

はよ出な切れてまうで!」

たろうの言葉と同時に

携帯は鳴るのをやめた。

「ほらゆうたやん。

外おるからかけ直しな」

たろうが外に出ようとしたので

とっさにたろうの服の裾を掴んだ。

「嫌や!」

首を横に振った。

「今ここでつぐくんと

向き合わんでいつ向き合うねん!

いつまでも逃げてたらあかん!

電話せな海行かへんで!」

私の頭をなでると

たろうは外に出て行った。
< 32 / 359 >

この作品をシェア

pagetop