新月の兎
私は手を伸ばして女性を引き止めようとしましたが、間に合いませんでした。

「…え」

しかし、女性は落ちていかず、上へ上へと上っていきます。

重力には普通、逆らうことができません。

目をこれでもかと大きく開き、口を開いたまま、ただただ見つめていることしかできませんでした。

女性の金色の髪が大きく波打っています。
手には兎を抱いていました。








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