白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
美穂が部屋の出口付近まで歩いても、タカは立ち上がらなかった。
立ち上がったのは……
タカじゃなく、先生だった。
先生、
だめ。
行かないで。
先生……
先生、お願い。
振り向いた美穂は、先生の存在に気付き、笑顔を向けた。
その笑顔は、私の心の中にドロドロとした感情を流し込む。
2年間、ずっと友達だった。
大好きだった。
それなのに、今……
私は、美穂の笑顔を見て、荒木さんを思い出した。
先生を好きだった、あの荒木さんを。