白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「直、美穂のことだよね?」
桃子は、専門学校で最初に仲良くなった子だった。
ゆかりがいなくなって寂しかった私の心の中に、スーっと入って来たのが桃子だった。
どこかゆかりに似ている穏やかでほんわかした雰囲気が大好きで……
「ごめんね、桃子。私、酔っちゃったのかな。変だよね」
「変じゃないよ。わかるよ。もし、直の立場だったら私だって嫌だもん。翼先生は、新垣先生みたいにかっこよくないから誰も比べたりしないけどね」
桃子は、頬にえくぼを作って、優しく微笑んでくれた。
「桃子ぉ…… どうしよう」
「直、大丈夫だって!!」
「美穂、先生のこと好きになったりしないよね」
「それはないよ。だって、もし先生を好きになったら美穂はいろんなものを失うんだよ。タカだけじゃなく、大事な友達まで失う。そんなこと絶対にないよ!!」
桃子の力強い言葉を聞いて、少し安心した。
ちょっと心配しすぎてしまったのは、やっぱりお酒のせいかな。