白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「ケンカの原因は、俺達にはわかんねぇけど、タカはひどく落ち込んでたぞ」


真崎君は、ちょっとイライラしたような口調だった。


私は、早く違う話題になって欲しくて、黙ってアイスミルクティーを飲んでいた。



ケーキが来ていないのに、ミルクティーがもう半分しか残っていない。




桃子が話題を変えようと、隣の席に運ばれたケーキを見て“美味しそうだよね”って言ってくれたけど、話題は変わらなかった。



「私が悪いの…… タカにひどいこといっぱい言ってしまった」



私達女子は、美穂からケンカの原因は聞いていた。


私は、また美穂の口から“先生と比べてしまった”と聞くのが怖くて、席を立った。




「ちょっとトイレ……」



私と一緒に席を立ってくれたのは、桃子だった。



私は高校時代を思い出した。


依子が、“新垣を好きになろうかな”って言ったことがあった。


あの時、泣きそうになってトイレに逃げ込んだ私を追いかけてくれたのはゆかりだった。


今、あの時を思い出した。



ひとりでトイレに走ったけど、決してひとりになりたかったわけじゃなかった。




あの時も、今も……




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