白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「ありがとう。桃子ぉ……」
桃子は、いつの間にか、私の親友になっていたんだね。
「直…… 辛いよね。どうする?体調悪いって言って、抜ける?」
桃子は小声でそう言いながら、鏡越しに私を見つめた。
「せっかくの旅行だし…… 楽しみたいし、みんなとも楽しい思い出作りたい。でも…… 苦しい。美穂達、別れちゃいそうじゃない?」
桃子は、う~んと考え込みながら、濡れた手で私の手を握った。
「もしもだよ!もしも、最悪の状況になったとして、美穂とタカが別れたとするじゃん。でも、それって、直と先生には何も関係ないことだよ!!勝手に別れるんだから気にすることない」
桃子の真剣な表情が、ゆかりと重なる。
「そうだよ……ね。うん、そうだよね。私達の友情も変わらないよね?」
「美穂と直が変わったとしても、私と直は変わらない。美穂がもし、直を傷つけるようなことしたら、私は美穂を許さないもん」
私は、桃子の手をぎゅっと握り締めながら、溢れる涙を瞳の奥に戻そうと天井を見上げた。