白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



そろそろ話題も変わっている頃だろうと思い、私と桃子はトイレから出た。



予想通り、さっきとは全く違う雰囲気になっていた。


要君のデジカメの写真を見ながら、あゆみが爆笑していた。


桃子と私は目を合わせて、頷き合ってから、席についた。


明るい雰囲気になってはいたが、美穂は思い詰めたような表情をしていた。




考えても仕方がない。


桃子が言うように、私が何を悩んでも美穂とタカのことはふたりにしかわからない。


考えないようにしなきゃ。




「これ見てよ!!テルって、ばかでしょ」


あゆみが私と桃子にデジカメの画面を見せてきた。


そこに写っていたのは…… 動物達と要君。


「2ショット撮ろうと思ったんだけど……」



手を伸ばして、自分で撮った写真だから、全部ドアップ。



しかも、要君の顔が半分切れていたり、ボケていたりして、それも面白い。




「テルって、もっと完璧な男だったよね。昔は……」



あゆみはそう言いながら、昔を思い出すような表情をした。


要君のおもしろ写真のおかげで、美穂の周りに漂っていたさっきまでの重い空気がどこかへ飛んでいた。



良かった。


美穂も笑ってる。


みんな笑ってる。


私も……ちゃんと笑えてる。




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