白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「お?そろそろ出てきそう。直の声が聞こえて来たぞぉ~」


「さすがですね、先生!!」



店から出てきた直は笑顔だった。


桃子ちゃんと手を繋いでいた直は、俺の姿を見て子犬みたいに走り寄ってきた。


桃子ちゃんも翼先生に走り寄る。




俺も翼先生も至福の瞬間……


愛されてるなって…… 思える瞬間だ。





「じゃあ、絶対また集まろうぜ~!」




タクシーに乗り込むと同時に、直が俺のズボンをぎゅっと握った。




直…… 





「どした?」


「ううん。何でもない」




強がってしまう直の癖は、結婚してもまだ直らない。


まぁ、いい。


そんな直に、いつも気付ける自分でいたい。





「直、俺がいなくて寂しかったのか?」


「うん。ケーキ本当はもっと食べたかったもん」



上目遣いで俺を見た。


窓の外には、飲食店が並んでいた。


華やかなライトが直の後頭部を照らす。






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