白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「あ、電話だ」
携帯電話を見ると、さっき番号交換をしたばかりの翼先生からだった。
「もしもし?」
心配そうに俺を見ている直に、翼先生からだよ、と言い、翼先生の声を聞く。
『桃ちゃんからの伝言なんだけど…… 直のことよろしくだってさ。ちょっと元気ないみたいだから。それと、この伝言のことは矢沢さんには内緒だって横で言ってるよ!』
直、お前は専門学校で最高の友達を見つけたな。
俺は、中田を思い出したよ。
「了解です。ありがとう!桃子ちゃんにもよろしく!!じゃあ、おやすみなさい」
不思議そうな顔をしている直。
「さっき翼先生に番号教えたんだよ。合ってるか心配だったみたい。桃子ちゃんと翼先生、今夜どうなるんだろうな?」
俺は嘘が苦手。
きっと目が泳いでるな。
でも、この嘘は……
いい嘘、だよな?
「そうだね。桃子、本当に翼先生のこと好きだったから。やっと幸せになれる」
俺は、直の手を握った。
手を繋いだ瞬間、直が照れた顔をしてくれたのが嬉しかった。
ときめき……
与えてやれてるかな?って。
ずっとドキドキした関係なんて無理だけど、時々は恋愛時代のようにドキドキさせたり、ときめかせてやりたいって思う。
俺はいつも直からたくさんのときめきをもらっているから……