白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~


「あ、電話だ」


携帯電話を見ると、さっき番号交換をしたばかりの翼先生からだった。


「もしもし?」



心配そうに俺を見ている直に、翼先生からだよ、と言い、翼先生の声を聞く。




『桃ちゃんからの伝言なんだけど…… 直のことよろしくだってさ。ちょっと元気ないみたいだから。それと、この伝言のことは矢沢さんには内緒だって横で言ってるよ!』



直、お前は専門学校で最高の友達を見つけたな。


俺は、中田を思い出したよ。



「了解です。ありがとう!桃子ちゃんにもよろしく!!じゃあ、おやすみなさい」



不思議そうな顔をしている直。



「さっき翼先生に番号教えたんだよ。合ってるか心配だったみたい。桃子ちゃんと翼先生、今夜どうなるんだろうな?」



俺は嘘が苦手。


きっと目が泳いでるな。


でも、この嘘は…… 

いい嘘、だよな?




「そうだね。桃子、本当に翼先生のこと好きだったから。やっと幸せになれる」



俺は、直の手を握った。


手を繋いだ瞬間、直が照れた顔をしてくれたのが嬉しかった。



ときめき…… 

与えてやれてるかな?って。




ずっとドキドキした関係なんて無理だけど、時々は恋愛時代のようにドキドキさせたり、ときめかせてやりたいって思う。


俺はいつも直からたくさんのときめきをもらっているから……






< 132 / 358 >

この作品をシェア

pagetop