白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
部屋の照明は薄暗い黄色だった。
タオルケットをかぶっているからもっと暗くて、ろうそくの灯りの中にいるみたい。
でも、先生の顔はよく見えた。
「美穂だけじゃなくて、私の友達はみんな先生のこと褒めてくれるし、みんなかっこいいって言ってくれる。今までは、そのことに嫉妬したことなんてなかった。私の友達が先生のことを男として意識したりするわけないって信じてたから」
先生は、小さく頷きながら私の背中を撫でた。
お母さんが赤ちゃんの背中を優しく撫でるように。
「ゆかりや依子と集まったらいつも私は先生の自慢してて、ゆかりも依子もそれを“うらやましいなぁ”って言いながらも、ちゃんと自分の相手のことも自慢して、お互いに好きな人の好きな部分を話したりするの。そういうのが楽しくて、専門学校でもそんな感じだった。入学当時から彼氏がいたのは美穂だけだったから、いつも美穂とはデートの報告をし合ったり、ささいな悩みを相談したりしてたんだ。今日一日で、それが全部消えちゃったみたいな気がして…… 悲しいっていうか寂しいっていうか、よくわかんないんだけど、全部夢だったらいいのにって思う」
本音。
それが本音。