白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~





全部夢だったらいいのに。





さっき、夕食のお店に入る前に戻りたい。


美穂とタカがケンカする前に戻りたい。


美穂はタカが好きで、タカとの結婚話を進めたくて、ちょっと嘘を言ってみただけってことはない?



もしそうなら、いいのに。



先生のことなんて、何とも思ってなかったらいいのに。




「美穂ちゃんが俺のこと好きになったってことは絶対ないぞ」


先生が言うと、本当にそうなのかなって思えるのが不思議。




「だって、俺のこと何も知らねぇじゃん。直に対しての俺しか知らないのに、好きになるか?直みたいに愛されたいって思ったのは本当だと思うけど、それは俺への気持ちじゃない。タカが、俺みたいに愛してくれたらいいのにっていう感じじゃねぇか?」




先生の言う通り。


美穂は、私が話した先生しか知らない。



え?

ちょっと待って。



でも、今日は1日美穂は先生と一緒にいたから。



「今日、一緒に行動していて、先生のこと好きになったってことはない?」



「ない!!俺、直のことしか見てねーもん。そんな男を好きになるバカいねぇって」




説得力がある。


さすが先生。


そうだよね。


美穂が先生を好きになるってことは、桃子も言ってたけど、美穂にとって何も良いことがない。



友達と彼氏を一緒に失うってこと。







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