白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
お風呂場の濡れたマットを、乾いたマットに交換した。
そこにタオルを敷いて、その上に座る。
私は携帯電話を握りしめて、美穂からの返事を待った。
【今、話せる?】
美穂からのメール。
私は、美穂に電話をかけた。
息苦しい。
緊張というか、恐怖というか、何とも言えない気持ち。
「もしもし。美穂?」
『あ、直。ごめんね…… こんな時間に』
私は洗面台の横に置いてあった時計を見て、もう夜中の1時を回っていることに気付いた。
「…… 仲直り、した?」
沈黙に耐え切れず、私から話し出す。
『仲直りできたよ。本当にごめんね。心配させちゃって』
美穂の言葉に安心しつつも、まだ本音を話してくれていないことはわかっていた。
タオルを敷いているのに、お尻にひんやりとタイルの冷たさが伝わってくる。
『本当にもう大丈夫だから。心配させちゃって、ごめん。直、元気なかったから、私のせいかなって思って…… 』
「う、うん。本当に仲直りできたんだよね」
心臓が激しく音を立てているのがわかる。
浴室に響き渡る自分の声と心臓の音。
なんか嫌だ。
この、うわべだけの会話が嫌だ。
なんか…… 違う。