白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「直、直…… 泣くなよぉ」
「先生、ごめんなさい」
「直…… 美穂ちゃんのことか?」
「うん。うん…… 嫌だよぉ。美穂を失いたくない」
「うん、そうだな。直…… 美穂ちゃんも同じ気持ちだよ」
先生は携帯電話を握りしめた私の手を、ぎゅっと握ってくれた。
「直、このままだと楽しめないもんな」
「さっき、美穂と電話したの…… でも、よそよそしくて、なんか違うの。仲直りしたから、安心してって言ってくれたけど…… 全然すっきりしなくて」
先生は私の体全部を包み込むように抱きしめてくれた。
「もう一回、話してみろよ」
先生の言葉に頷いた。
その時、携帯電話が震えた。
「おぉ?美穂ちゃんも同じ気持ちだったんだな。かかってきたじゃん」
美穂からの電話だった。
先生は、何かあったら俺を呼べと言って、ベッドへと戻った。