白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「もし…… もし」
『なおぉぉぉぉぉ~』
美穂の声……
少し聞いただけで泣いていることがわかる声だった。
『直…… やっぱりこのままじゃ眠れない。直、直ぉ~ごめんなさい』
美穂の隣には、タカがいた。
時々、美穂に声をかけるタカの声が聞こえた。
ホテルに戻った美穂に、全員から電話があったんだって。
真崎君とあゆみ、要君。
そして、桃子。
みんなから、“直が元気なかったから心配だ”と言われたって。
ありがたいことだよね。みんな本当に優しい。
『だから、さっき電話したんだ。大丈夫だよって伝えたくて。でも…… 私、このままじゃ、直と会えない。直に合わす顔がないよ』
美穂は話し始めた。
寒くないのに、体が震える。