白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
『本当はね、みんなから直には絶対に言うなって言われてるんだけど』
美穂は、そう言って、深呼吸をした。
やっぱり、あのケーキ屋で何かがあった。
私と桃子がトイレに行っている間に、美穂はみんなに正直な気持ちを話した。
そこで美穂が言ったこと。
“先生のこと好きになったみたい”
真崎君は、本気でキレて美穂に怒鳴った。
“それを俺達以外の誰かに言ったら許さねぇぞ”って。
『どうかしてた。私…… お酒のせいにしちゃいけないけど、今落ち着いて考えたら、それは違うってわかる』
私は、平常心を保っているフリをしながら返事をしていたけど、手が震えていた。
美穂は、先生を好きだって思ったんだ。
先生のことを、異性として意識したんだ。
要君は、“直っぺの前では絶対にそんな素振りをするな”と。
それを聞いて、要君のあのセリフの意味がわかる。
“美穂、よく頑張ったな”って言ったのは、そういうことだったんだ。