白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「あの時さ、直はダサい格好してたんだよな。俺の服着てさ」
先生は懐かしい昔を思い出しているような遠い目をして、私の手を握った。
「嬉しかったなぁ。本当に夢の中にいるみたいだった」
先生は、あの時よりも大胆で。
当たり前だけど、あの頃とは何もかもが違う。
夜景を見つめながら、手を繋いでいた。
あの日見た夜景。
ドキドキして、苦しいくらいに幸せだったね。
「早くかかってくるといいな……」
先生は、電話を気にする私を気遣って、エッチなスイッチはOFFにしてくれていた。
あの日、ここで先生と夜景を見た時から、今までのことをぼんやりと思い出す。
そこには、いつも大好きなゆかりの笑顔があった。
ゆかり、本当にありがとう。
いつもいつも、隣にいてくれてありがとう。
「あ!!!!電話!!ゆかりからだ!!」
興奮して、うまく携帯電話のボタンが押せない。