白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~




「オレンジジュース取ってくるよ」



先生は立ち上がった。



後ろ姿を見つめる。


あぁ、かっこいい。


旦那様だけど、かっこいい。





あの背中大好き。


首筋の感じ、後頭部の髪の毛も腕の振り方も、ちょっと偉そうな歩き方も好き。






「はい、どうぞ。こぼすなよ」



オレンジジュースの入ったグラスをふたつ、テーブルに置く先生。



「ありがと」



「オレンジジュースをこぼす達人だからな、直は」




先生は、ストローを差さずに一気に飲み干す。



私はストローでちゅーっとオレンジジュースを飲む。




オレンジジュース、こぼしたよね。



マウスの中の秘密の“スキ”がバレちゃったんだよね。




「昨日のことみたい」



「そうだな。はっきり覚えてるよ。どうでもいいことはすぐ忘れちゃうのに。俺って相当直のことが好きなんだろうな」




今日の先生はひと味違う。



いつもよりも…… 甘い。







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