白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「もしもし?」


しばらく返事がなく、私は心配になった。


「もしもし?ゆかり!?」


『あ、ごめん!!直』


聞こえた声は、くすくす笑うゆかりの声。


最近聞いたことがなかった安心した幸せそうな声だった。




心の中が一気に温かくなるような。


とても、ホッとして体の力が抜けた。




「戻ったんだね!!」



『先生と直のおかげだよ。本当にありがとう!!』




隣で笑うたっくんの声もちゃんと届いていた。




先生がそっと私の腰に手を回してくれた。





「おめでとう!!ゆかり!」




『ごめんね。心配かけちゃって。もう大丈夫だと思う。私、もうたっくんを信じるから』





その声からは、強い決心が感じられた。



たっくんが先生にお礼が言いたいと言ったので、携帯を渡した。




「たっくんは世話が焼けるんだから。忘れんなよ、今の気持ち。心配かけたお詫びに今度飯おごれよぉ~」




先生の表情も、心からホッとしているようだった。



北海道への卒業旅行から帰ったら、4人で海へ行こうと約束した。






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