白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
ボサノバ調の落ち着いた音楽が流れる店内。
喫煙場所からかすかに煙の匂いがして、ちょっと懐かしくなった。
先生がタバコをやめてもう何年だろう。
今でも、時々タバコの匂いにドキっとする。
ガラス張りの店内から外を見ると、最高の笑顔が……!!
腕組みをした要君と、その隣に翼先生と真崎君。
隠れるようにあゆみと桃子がこっちを見ていた。
「みんなぁ~~~!!」
店から飛び出した私は、みんなの輪の中に飛び込んだ。
勢い良く走って行ったので、転びそうになって、要君が受け止めてくれた。
「おいおいおいおいおい?」
振り向くと、先生が慌てて私の腕を掴んだ。
「今、要君に抱きつきそうになっただろ」
「なってないなってない!!」
首を振る私。
「今、確かに直っぺは俺に向かって走ってたよな」
要君がそんなことを言って、先生は要君の首に腕を回した。
「おら~!!要ぇ~!本気で言ってんのかぁ?」
温かい空気。
穏やかな笑顔。