白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「今日、楽しかったですね」
私は隣にいる翼先生に声をかけた。
「あ、あぁ。そうだね。いろんなことがあったけどね」
「美穂とタカが仲直りできればいいんだけど」
すぐにホテルの前にタクシーが停まった。
エレベーターの中での翼先生がいつもと違う感じがして、私は声をかけられなかった。
どくんどくん
心臓の音が響いちゃいそうな静かな廊下。
ここは北海道のとあるホテル。
「いや~!酔っ払っちゃったよ。桃ちゃんは大丈夫?」
私の王子様、新谷翼先生。
なぜだか同じホテルの部屋に泊まることになった私と翼先生。
「はい」
さっきまで平気だったのに。
エレベーターの中での沈黙のせいだ。
緊張して緊張して、おかしくなりそうだ。