白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「桃ちゃんが俺のことを好きでいてくれていることは何となく気付いていたんだけど、ちゃんと告白されたときに、どう答えていいかわからなかった。桃ちゃんは卒業して、俺のことなんてもう忘れてしまうかもしれない。それなら、その方が桃ちゃんにとって幸せなんじゃないかとも思った」
私は翼先生に告白した時のことを思い出す。
先生は、困ったような顔で私を見つめてくれていたんだよね。
「正直、嬉しかった。でも、自分から行動を起こす勇気がなかった。こうして、桃ちゃんがこの旅行に誘ってくれたから、俺は自分の気持ちに気付けた。もうずっと前から、桃ちゃんのことを女性として意識していたんだと思う」
翼先生の声なのに、別の人なんじゃないかと思ってしまう。
翼先生、そんな風に思ってくれていたんだ。
私は、布団から顔を出し、翼先生の方を見た。
真っ暗でよく見えないけど、翼先生も布団から顔を出していた。
「好きです。桃ちゃんのことが…… 付き合ってもらえますか」
翼先生からそんな言葉をもらえるなんて、夢みたい。
ずっとずっと片思いだったのに。
翼先生から、そんな丁寧な告白をしてもらえるなんて。
「翼先生…… 信じられないです。私、どこにでもいる普通の子だし、全然美人じゃないし、頭も良くないし、ぽっちゃりしてるし…… 翼先生に好きになってもらえるような子じゃないのに…… でも、でも…… 」