白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
ラベンダー畑に到着した。
バスから降りると、ほんのり甘い香りがした。
大型バスが何台も停まっていて、観光客で溢れていた。
「やっぱり夏休みだから混んでるな」
「そうだね。あの子達、高校生だよね~」
キャーキャー騒ぎながら、写真を撮っている3人組がいた。
胸が……
きゅんってした。
私とゆかりと依子みたいだなって思ったんだ。
高校3年の私達、きっとあんな感じだった。
「お前らみたいだな」
先生は懐かしい表情でその3人を見つめた。
私と同じように感じていてくれたことが嬉しくて、先生の腕に腕を絡めた。
「俺はいつも遠くから見てたんだ。直がああやって友達と楽しそうに笑ってる姿を。俺が何もしてやれない分、中田や里田が直を支えてくれていた。お前はいつも俺の前では笑顔だった」
友達がいなければ、私は毎日泣いていたかも知れない。
教室にはいつも大好きな友達がいた。
だから、先生が別の女子と話している姿を見ても、落ち込むことなく笑顔を保つことができた。
ゆかりや依子が私を守ってくれていた。
いつも、“大丈夫大丈夫”って私を包み込んでくれた。
何かあったら、このふたりが助けてくれるって私は信じていた。