白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
朝の先生のモード切り替えはいつも、コーヒー。
今も……
ブラックコーヒーを口にふくんだ瞬間、「男」になる。
「新婚旅行の分まで、楽しい思い出作ろうな。いつか子供に自慢できるように」
私の肩に肩をぶつけて、かっこいい笑顔を向ける。
ドキドキする。
いつも思うけど、先生は思ったことを正直に言葉にすることのできる人。
恥ずかしがらずに、ちゃんと伝えてくれる人。
「楽しみだね。今日は力さんの牧場に行って、夜は海の幸を食べながらの宴会だね」
力さんというのは、先生の親友。
飛田力さん。
結婚して、奥さんの実家である牧場を継ぐことになった。
いつか行きたいねと話していたけど、こんなに早く実現するなんて。
「絞り立て牛乳のソフトクリームがうまいんだって。最後の日はふたりでラベンダー畑に行こうな。レンタカー借りて、広い北海道を走りたいな」
先生に出会って、旅行が好きになった。
先生と旅行に行くと、いつも最高の思い出ができる。
旅行先では、先生はいろんな新しい顔を見せてくれるんだ。
この北海道旅行、どんな思い出ができるんだろう。