白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「おはようございます!いろいろ助かりました」
生活指導室のソファで、眠そうな顔で俺に向かって手を振ったのは喜多先生。
「おかえり。新垣先生がいない間、何のトラブルもなく平和だったよ。俺の家はちょっと波乱だったけど…… 頼んでたおみやげ、買って来てくれた?」
疲れた表情をしているように感じるのは、気のせいではないようだ。
「何があったんですか?奥さんとケンカっすか?」
「だめだな。俺は…… 教え子とふたりで飯を食ったんだけど、それを妻に内緒にしていたんだよ。それがバレて、大喧嘩」
大きく息を吸った喜多先生は、息を吐きながら俺が持っていた紙袋の中を覗きこむ。
「喜多先生!!浮気ですか!」
「何言ってるんだよ!!そんなわけないだろう。本当に何もない。数年ぶりに連絡のあった元生徒と飲みに行っただけだよ!」
喜多先生は、ネクタイを緩めて、立ち上がった。
窓際まで歩くと、ゆっくりと振り返り、苦笑いを浮かべた。