白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



俺は、コーヒーを入れる為にお湯を沸かす。



「仲直りまだなんですか?」



「昨日の夜のケンカだからな。新垣先生の北海道土産だけが頼りなんだよ」




喜多先生への土産は、奥さんがハマっているというアロマオイルと芳香剤の詰め合わせセット。



喜多先生は、俺が北海道へ行くと言った時から、その話をしていた。



だから、喜多先生は…… 

奥さん一筋なんだよな??




何疑ってんだよ、俺。




「これで、仲直りできるといいですね」


「ありがとう!!こんなに大量に買ってくれたのか?悪いな」


「いえいえ。いつもお世話になってますから」



俺達は、ソファでコーヒーを飲んだ。


喜多先生は真夏でもホットコーヒー。


しかもお砂糖入り。



見た目からは想像つかないけど、甘党なんだ。





「夏休みの学校って、ちょっと寂しいですね」




俺は、誰も来ない生活指導室の入口の扉を見つめた。


いつもなら、誰かが扉を乱暴に開けて、入ってくる。



“先生~、聞いてくれよ”って。




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