白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「誰だったんだよ?」
「文面からすると…… 俺が最初に担任を持った時のクラスの生徒っぽいんですけど。名前が…… あ!結婚したってことですかね」
名前を覚えることは得意だが、下の名前だけではなかなか思い出せない。
相当昔だし……
「こういう場合は、どうすればいいですか?」
「おいおい、俺に聞くか?」
喜多先生は、おどけた表情で笑った。
手紙には、結婚したことなど書かれていなくて、ただ当時の出来事や、俺への感謝の気持ちが書かれていた。
そして……
夏休み中に学校へ遊びに行きますと書かれていた。
「思い出せないの?新垣先生」
「微妙です。もしかしたら、学級委員だった女の子かもしれない」
「手、出したりしてないよな?」
「ちょっと!!何言ってんですか!!俺は、直が最初で最後です!!」
ムキになって怒る俺を見て、喜多先生はお腹を抱えて笑っていた。