白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
私は桃子と腕を絡ませ、鼻歌まじりにバスに乗り込んだ。
このバスは、力さんの牧場へと向かう。
「矢沢さん、旦那さん借りちゃっていい?」
翼先生は、授業では見せたことのないお茶目な顔をしてそう言った。
「はい!!どうぞ!!」
私は桃子とふたりで一番後ろの席に座った。
3列前に座った先生と翼先生の後ろ姿を見つめる。
「桃子もマニアだね」
「直には負けるって」
桃子は、私の耳元に顔を近づけた。
「あのね、今夜のホテル。ツインなんだけど、同じ部屋なの。どうしよう」
「え~!!まじ?」
先生でもそんな大胆なことしないよぉ。
翼先生、なかなかやる~!!
「うん。空いてなくて、1室しか取れなかったんだって。でも、翼先生が予約したんだから、翼先生もそれでいいってことなんだよね?」
桃子の瞳はキラキラしていた。
片想いが両想いに変わる時、人はすごく輝くんだなと思った。
桃子はとても綺麗で、幸せに満ちあふれているように見えた。
「翼先生も、桃子と一緒にいたいんだよ。大丈夫!!桃子と同じ気持ちだと思うよ」