白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「じゃあ、適当にドライブでいい?」
たっくんはアクセルを踏み、車を動かす。
デートみたい。
懐かしい。
変なの。
ついこないだまで、これが当たり前だったのにね。
話があるって呼び出したのはそっちなのに。
何か話せよってたっくんは何度も私に言う。
何を話していいのかわからない。
話したいことは、1年分くらいあるけど、それを話して良い関係なのかどうかわからない。
今日のたっくんからの話の内容がわからないから。
彼女っぽく何でも話しちゃうのはずうずうしいし。
「ゆかりらしくないな」
たっくんは、昔のままの口調だった。
少し優しい感じもする。
別れは人を優しくする。
悲しみや涙は決して無駄じゃない。
たっくんの心の中の“ゆかりらしさ”ってどんなのだろう。
いいイメージのまま残ってくれていればいいな。