白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「あそこ行こうか。懐かしいな」
たっくんの言った“あそこ”とは、あの湖のことだった。
「あ、たっくんが携帯投げ捨てた湖?」
「はははは。そうそう、伝説の」
思い出が多すぎて、きっと私はこれから何年もたっくんを引きずる。
たっくん以上に、私のことをわかってくれる人なんているわけない。
こうして一緒に車に乗っていると、あの頃とは違うんだと思うこともあるけど、やっぱりこの空気が落ち着くなって感じてる。
たっくんが好き…… なんだよね。
結局私は。
「直と先生、北海道行くんだって」
「あ~、先生からチラっと聞いた。新婚旅行のやり直しだろ?」
私とたっくんが離れていても、共通の友人がいることで、どこかで繋がっていられる。
それが嬉しい。
ぎこちない会話を繰り返しているうちに、湖に到着した。