白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「この湖の水の半分は、俺の涙かも」
照れくさそうにたっくんはそう言った。
「そのセリフ、先生っぽいね」
「あ~、先生なら言いそう。じゃあ、先生の力を借りて…… 俺らしくないこと言ってみる」
たっくんは、私の方に体を向けて、真剣な顔で私を見つめた。
湖からの風がほんのり冷たくて、気持ち良い。
「ゆかりがいないと寂しくて死んじゃう」
本当に先生かと思うような、歯の浮くセリフ。
でも、そこにいるのは正真正銘、たっくんで。
「たっくん……」
「結婚を前提に、僕と付き合ってもらえませんか」
私とたっくんの間をすり抜ける風。
風を通さないように、私はたっくんの胸に抱きついた。
「たっくぅぅ……ん」
「ゆか……り」