白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
私は、自分の涙に気付く前にたっくんの涙に気付く。
私の頭に落ちてきた涙。
たっくんが…… 泣いていた。
たっくんの泣き虫。
「私も、たっくんがいないと死んじゃう。寂しくて寂しくて」
「ごめん。本当にごめん。泣かせてごめん」
「私もごめん。たっくん泣かないで」
「これは、嬉しい涙……だから」
ぎゅっと強く抱きしめて。
痛いくらいに抱きしめて。
もう二度と離さないで。
ふたりの間には、風だって通さない。
「たっくん、私でいいの?」
「ゆかりは、俺でいいの?」
久しぶりのキス。
初めてのキスよりも緊張する。
たっくんが好きだ。
たっくんは弱い部分を持っていて、それを補えるほど私は強くない。
だから、傷を癒せるかどうかはわからない。
でも、その傷に手を当てて、少しでも痛くないようにしてあげる。
ずっと隣にいて、声をかけてあげる。
私だって弱いから。
たっくんがいないとだめなんだ。