白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「来年の春、結婚しよう」
結婚の話題が出ないわけじゃなかったけど、今までは現実的じゃなかった。
夢を語り合っているような、遠い未来のような。
はっきりした時期を示してくれたことで、私の心の不安は消えた。
「たっくん!!」
「真似するなって言われそうだけど、先生達と同じ5月に結婚しよう」
直に話したことがある。
私も春に結婚したいなって。
寒がりだし暑がりな私。
春が好きだから。
「たっくん、嬉しいけど焦らなくていいよ。私、たっくんの彼女でいられるだけで幸せだから」
「焦ってないよ。一人前になるまでゆかりに待ってもらったら、きっとゆかりはおばあちゃんになっちゃう」
私は、大好きなたっくんの胸に顔を埋めて笑った。
「まだまだ未熟な俺だけど、よろしくね」
たっくんの声が響く。
私はうなづきながら、たっくんの背中に両手を絡ませた。