白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
もしかしたら、私よりもたっくんの方が苦しんでいたのかもしれない。
別れるという決断をしたのはたっくんだから。
別れてから、たっくんは私との思い出の場所へ行ったり、写真を見たりしてくれていた。
会社の同期や先輩も、たっくんの元気のなさには気付いていたらしい。
実はな…… ってたっくんが教えてくれたことだけど、たっくんのことを気に入っていた女の先輩がいたんだけど、たっくんの落ち込みようを見て情けないと言って離れて行ったと。
仲の良かった同期の女の子にも、別れてから私のことを相談してくれていたって。
別れてすぐに他の女の子とどうにかなるんじゃないかなんて心配していた自分がバカみたい。
たっくんのこと、誰よりも知ってるくせに。
たっくんは、情けなくて、おバカさんで、涙もろくて……
でも、すごく人間味があって、優しい人なんだ。
「俺達も北海道行きたいな」
「いつか行こうね。夏休みに4人で海に行こうって先生と直が言ってくれてたんだよ。もう無理だと思ってた」