白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
俺は神田由利に手紙を書こうと思った。
俺は結婚したこと。
妻を愛していること。
そして、完全に教師として俺を見てくれているなら会いに来てと。
もしそうじゃないなら、俺は会えないと。
自意識過剰かなって思うけど、トラブルになる前にできることは全部しておこう。
金森がそれを教えてくれた。
俺は金森を心のどこかで信じていた。
信じる理由なんてどこにもないのに、教え子だということだけで、金森を信じたかったんだ。
でも、裏切られた。
俺がもっと早くにはっきりと強く金森に注意していれば、直にあんな涙を流させずに澄んだ。
卒業後に会いに来てくれる生徒は大勢いる。
それは教師としてとても幸せなことだし、心から嬉しい。
ただ、今回だけはちょっと違う。
何か嫌な予感がする。
このまま俺が何もせずに、神田由利を待っていたら、金森の時と同じになってしまう気がした。