白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
大事な人★先生目線★
―先生目線―
初めて見る表情だった。
弟の誠人が、彼女を連れてやって来た。
生意気な弟だった。
昔から、恋人とあまり長く続かない誠人のことを俺は、本気の恋をしたことがないと思っていた。
誠人が初めて紹介してくれた彼女。
花帆さん。
そして、花帆さんの娘さんの愛花ちゃん。
誠人は、顔をくしゃくしゃにして、愛しそうに愛花ちゃんを見つめていた。
俺は、まだあんな顔をしたことがない。
娘の七緒を、あんな顔で見つめたことがあっただろうか。
一歩先を歩いているように見えた誠人。
誠人には、結婚を焦るなと兄貴ぶってアドバイスしていたが、今の誠人を見ていると、早く家庭を築いて欲しいと思ってしまう。
誠人のあんな柔らかな表情は見たことがないから。
誠人もようやく自分の居場所を見つけた。
俺が直を見つけたように、誠人も運命の人を見つけた。