白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
俺は、直が夕食の準備をしている時間に、神田由利に手紙を書いた。
何度も俺に会いに来る1年生の神田から聞いた情報によると、俺が当時渡した手紙というのは、告白の返事だったらしい。
手紙で告白されて、そこに返事が欲しいと書いてあったから、当時の俺は本当に返事を書いた。
今の俺なら絶対にしないけど。
そこに書いた内容は、全く覚えていなかった。
俺を好きになってくれてありがとう、ということと、いくら待っても好きにはなれないということだった。
告白の手紙の最後に書かれていた“もし付き合えないなら、大人になったらいつか飲みに連れていってください”というお願いに、俺は律儀に返事をしていた。
“いつか、飲みに行けるといいな”と。
バカだなぁ、俺。
でも、そこまで深く考えていなかった。
生徒から告白されることが多かったから、卒業したら俺を忘れるものだと思っていた。
ほとんどの生徒がそうだから。
教師に対する気持ちは、在学中だけのもの。
ただの憧れなんだと思っていた。