白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「断る理由は、仕事ってことにしとけ。休み取った後だからってことで、不自然じゃないし」
そんなことまで考えてくれる。
私が集まりに顔を出さないと、みんなはきっと心配する。
美穂も……
自分のせいじゃないかって不安になるかもしれない。
「あ、水曜は本当にダメだ。だって…… ちょっと行きたい店があるんだよ」
先生は、カレンダーを見ながらニヤっと笑う。
「何?教えて~」
「もう予約してるんだぁ。だから当日まで内緒」
何だろう?
どこに連れて行ってくれるんだろうと考えていると、ようやく思い出す。
「あ!!水曜って」
「やっと思い出したかぁ?直の誕生日だろぉ?」
私の誕生日。
結婚して初めての誕生日だった。
独身の頃は、誕生日の何日も前から家族の中でその話題が出ていた。
誕生日の日は、カレーが食べたいってお母さんにお願いしたり、お父さんに欲しいものをねだったり。
だから、忘れることなんてなかったのに。