白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
誕生日
誕生日の朝。
目覚まし時計が鳴って隣を見ると先生の姿がなかった。
そ~っとキッチンを覗く。
大きな背中。
寝癖のついた髪。
眠そうにあくびをしながら、卵を割る。
こういう幸せって、心の中に染み込んでくる。
高価なプレゼントももらったりする幸せは違う幸せ。
きっと、長くず~っと心の中でポカポカし続ける幸せ。
「あっ」
先生は、オムレツを作ってくれようとして、ひっくり返すのを失敗したみたい。
がっかりする背中がかわいい。
「あれ?直!おはよう!」
「おはよう~!びっくりしたよぉ」
私はパジャマのまま、先生の背中にくっついた。
「びっくりさせたくて頑張ったんだけど、オムレツがスクランブルエッグになった」
「いいよ!!嬉しい!」
先生が、座っててって言うから私は座って、先生を見つめる。