白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「俺と出会う前も直はいい友達がいた?」



先生は、とても優しい表情でそう聞いた。


さっきは教師っぽくて、今は父親っぽい感じ。





「うん。小学校でも、中学でもいい友達がいた。親友はゆかりが初めてだったけど。職場には、真由美さんがいるし、同期の沙織もいる。それに…… 私には一番頼りになる先生がいるから…… 本当にいつもごめんね」




何言ってんだぁ?って言いながら、先生は私のお皿のワッフルにフォークを近付けて、ニヤリと笑う。




「だめ!!」


「いいだろぉ~!直のワッフル、おいしそう」


「先生も食べたでしょ?」


「もうなくなったもん」




子供みたいなこんな先生も大好きで。



いつまでもずっとこのまま、愛し合っていたいって思うんだ。






この幸せが永遠に続きますようにって……


時々、月に向かってお祈りしてしまう。





幸せってちょっとだけ怖いんだね。


この幸せがなくなってしまう日が来るんじゃないかって。


いつか消えてしまうんじゃないかって…… 不安になる。



幸せ過ぎるから。





「帰ったら…… 21歳の直とエッチする」



エレベーターの中。



前に人が乗っているのに、先生は小声でそんなことを言う。


照れる私の顔を見て、嬉しそうに笑う先生。






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