白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



花火大会当日の朝。




「先生~!!いってらっしゃい!これ、凍ってるから飲む時に気を付けてね」




靴を履いている俺の肩にひんやりしたものが乗せられた。




「おお!サンキュ」



直が俺の為に用意してくれた凍ったペットボトル。


ペットボトルにタオルを巻いて、ピンクのゴムで留められていた。




「今日も暑いから、ちゃんと水分取るんだよ?」



「わかったよ!じゃ、行ってきます」



母親のようなことを言う直に、愛しさが込み上げる。



行ってきますのキスをして、直の頭を撫でる。




「なるべく早く帰るから。浴衣に着替えて待ってて」



「うん!!頑張ってひとりで着てみるね」






陸上部の大会で、夕方まで帰れそうにない。





車に乗り、冷房を一番強くして、窓を開ける。




車の中は灼熱地獄……



照り付ける太陽。


雲ひとつない空。



晴れて良かった。




俺と直がずっと楽しみにしていた花火大会は、無事に行われるだろう。






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