白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「新垣先生、今日は特別暑いっすね」


岡崎先生は、ノートで顔に風を送りながら俺に話しかけた。



「そうだな。この暑さは…… ちょっと心配だな」





長年体育の教師をしていると、危ない日がわかる。


生徒が倒れたり、体調不良になりそうな天気。




岡崎先生とそういう話をしてから数分後だった。




1年生の生徒が練習中に倒れた。




熱中症だろうということで、すぐに病院へ連れていくことになった。



高校から近い場所だったから、俺は何度か行ったことのある救急の病院へ向かった。





「大丈夫か?」



1年生の中でも、大人しい川端という男子生徒。



「戻らなきゃ…… 僕、先輩にメロンパンを頼まれていたから」



顔色が悪いのに、車の中で起き上がろうとした。




「あ~!!寝とけ!今日は病院に行ってから、そのまま自宅に送るから」




聞き流すところだった。


今、“先輩にメロンパンを頼まれていた”と言った。




どういうことだ?



< 322 / 358 >

この作品をシェア

pagetop