白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「新垣先生、今日は特別暑いっすね」
岡崎先生は、ノートで顔に風を送りながら俺に話しかけた。
「そうだな。この暑さは…… ちょっと心配だな」
長年体育の教師をしていると、危ない日がわかる。
生徒が倒れたり、体調不良になりそうな天気。
岡崎先生とそういう話をしてから数分後だった。
1年生の生徒が練習中に倒れた。
熱中症だろうということで、すぐに病院へ連れていくことになった。
高校から近い場所だったから、俺は何度か行ったことのある救急の病院へ向かった。
「大丈夫か?」
1年生の中でも、大人しい川端という男子生徒。
「戻らなきゃ…… 僕、先輩にメロンパンを頼まれていたから」
顔色が悪いのに、車の中で起き上がろうとした。
「あ~!!寝とけ!今日は病院に行ってから、そのまま自宅に送るから」
聞き流すところだった。
今、“先輩にメロンパンを頼まれていた”と言った。
どういうことだ?