白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「なぁ、川端?」
元気になった川端に、聞きたいことがあった。
「メロンパンって誰に頼まれたんだ?」
川端は、言いにくそうな表情で窓の外を見ていた。
冷房を強にしても、なかなか車内が冷えない。
本当に今日は暑い。
「2年生?3年生?」
2年生であろうことはわかっていた。
3年生は、俺がかなり力を入れて育てた生徒達。後輩に対する接し方は、俺から見ても素晴らしいと思える生徒ばかりだ。
「2年の誰?」
困ったような顔をしたので、俺は質問を変えた。
「メロンパン、好きなの?」
びっくりしたような顔で俺を見た。
「いえ、僕はそんなに好きじゃないです。どちらかと言えば、学校でもサンドイッチ派なんで」
「購買のサンドイッチ、うまいもんな」
しばらく目を離していたせいだ。
2年生が1年生に食べ物を買って来させるなんて、俺は許さない。
しかも、仲が良くて“買って来てくれよ~”って感じで頼んでいるようにも思えない。
さっきの川端の様子を見ていると、今回が初めてじゃなさそうだ。