白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
車の中で、ゆっくりとゆっくりと川端の本心を聞き出そうとした。
家の前まで来てようやく話してくれた。
2年生の生徒、3人からいじめられていること。
川端はそれをいじめじゃないと言っていたが、俺はいじめだと思った。
部活の前にいつもパンを買って来いとか、ジュースを買って来いと言われていたらしい。
部活が終わってからも、部室で着替えていると、次の日の朝練に持ってくるパンを頼まれることもあると。
久しぶりの感覚。
手が震えるような。
怒りが体の中でグツグツと煮えているような。
「辛くないのか?」
俺の質問に、川端は答えた。
「部活は好きだから」
俺は川端に、陸上部のみんなにこのことを話していいかと尋ねた。
川端は、ずいぶん長い時間黙ったままだった。
「1年生はみんな知ってると思います。他にも頼まれている1年生がいるんで」
こういう場合、一番気をつけないといけないのは、俺が注意をすることで、よりいじめが進行してしまうこと。
チクったとか、弱虫とか言われて、前よりも辛くなることもある。