白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



俺は車を停めて、直に電話をかけた。



ただ、直の声を聞きたかっただけなんだ。



直の声を聞いて、背中を押してもらいたかった。




“先生なら大丈夫”って言って欲しかったんだよな、俺は。





直に、今日の出来事を話した。





顔を見ていなくても、直の表情が見えるようだ。



直は、真剣な声で、少し心配そうに言った。




「花火大会なんてどうでもいいから。ちゃんと納得できるまで話して来て」






いるのかな。



こんなにいい子が。


直の他に……






「直…… ありがとう。できるだけ間に合うように帰る。もし間に合わなかったら、ごめんな」





直は、来年も再来年も行けるから気にしないでと何度も言った。



そして、電話を切るときに言ってくれた。




「先生なら大丈夫だよ!!自信持って、いつも通り話せば伝わるよ!!」





直の言葉は魔法の言葉。




俺は、深呼吸をして車を走らせる。


さっきよりも速いスピードで。








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