白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



数人の2年生が、他の2年生を指差して、“お前ら利用してんじゃねぇの?”と言った。



“あんなの普通じゃん”と答えた生徒。




「ここでこの仲間と過ごせる時間は、そう長くない。いつか、大人になって今を振り返った時、この時間を辛い思い出として思い出す部員がいたとしたらどうだ?悲しいと思わない?今の3年生が後輩を大事にしてくれたように、それを見習って自分達も後輩にそれを引き継いで行ってもらいたい。いい先輩だったなって思われたくない?自分が、誰かの嫌な思い出になるって悲しいことだと思うんだ」




夕焼け空のせいだ。


胸が熱くなる。




しっかりと俺の目を見て、話を聞く生徒達の瞳がキラキラしていて、この中に心が腐った生徒はいないって確信した。




「軽い気持ちでしていることが、相手にとっては軽くないこともある。俺がいつもホームルームで話していることなんだけど、こうして陸上部の部員に話すことはあんまりなかったかな。相手の気持ちになってみるってことが、何をするにも大事だと思う。恋愛でもそうだと思うが…… 今、相手はどんな気持ちかな?何を感じているかな?ってアンテナを張り巡らすことが大事なんじゃないか。クラスでいじめがあった時、俺はいつもこんな話をするんだけど、いじめられている生徒はどんな気持ちで教室に入るだろうって」





俺の熱血スイッチが……



こうなると、もう止まらない。





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