白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



「この中で、今日一日振り返って見て、誰かに嫌な想いをさせたなって思うヤツはいるか?」




誰も手を挙げないだろうと思って聞いたのに、たくさんの生徒が手を挙げた。



「今日、俺にタイムを抜かれた他校の生徒は嫌な想いをしたかもしれない」




1人の生徒がそう言った。


すると、何人かの生徒が、俺もそうだと言った。





「それは、嫌な想いとは少し違うかもしれないな。自分がタイムを抜かれた時、どう感じる?悔しいって思うんじゃねぇか?負けたくない、今度こそ勝ってやる!って。そう感じるのは、相手と本気でぶつかり合ったからだと思う」





黙っていた1年生が遠慮がちに手を挙げた。



2年と3年の関係と比べると、1年と2年の関係は確かに良くない。


壁があると言うか、1年が2年に遠慮しているのがはっきりと感じられる。





「今日、家を出る時…… おかんとケンカしました。きっとおかんは、嫌な想いをした」





それはだめだろうと2年の生徒が言って、みんなが笑った。






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