白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「俺…… 川端にパン買って来てくれって頼んだ。それも、利用したことになるのかな」
2年生のその生徒は、眉間にしわを寄せながらそう言った。
「どんな風に頼んだんだ?」
「俺、朝飯を食う時間がなくて…… 川端がコンビニ行くって言うから、ついでにパン買って来てくれると助かるんだけどって」
川端にメロンパンを頼んだのは、その生徒ではない。
きっと…… 違う生徒。
「それは全然、いいと思う」
他の生徒が答える。
「川端、全然嫌そうじゃなかったし…… 俺も時々1年生に買い物頼んだことあるけど、別にパシリに使ってるわけじゃないし、ついでにお願いって感じで」
「それは、先輩後輩を利用していることになりますか?」
俺はみんなの顔を見回してから答えた。
「後輩が、先輩の為に何かをすることはいいことだと思う。困っている先輩を助けたり、逆に困っている後輩を先輩が助けたり。友達でも同じだけど、助け合うのはいいことだよな?その頼む時の気持ちが、“悪いなぁ”って思って頼むのと、“後輩なんだから当然だろ”って思うのとでは、頼まれた方の受け取り方が違うと思う。そういうのって、相手に多分伝わってるんだよ」